MACOS通信別冊

2021年5号 健康保険組合の8割近くが赤字に・ NEW!!!

 422日に健康保険組合連合会(健保連)より健康保険組合の8割近くが令和3年度の収支予算で赤字を見込んでいると発表されました。新聞記事によると新型コロナの影響によって、健康保険料の財源が十分に確保できなくなり令和3年度は全体で6700億円、令和4年度は9400億円の赤字になる見込みのようです。健康保険組合の平均の保険料率は平成20年のリーマン・ショック後で見ると、平成21年度の745%から上昇傾向で、今回の令和3年度予算では923%と過去最高を記録しました。急激な負担増を避けるため、積み立てた貯金を取り崩してしのぐ組合もあるようですが、料率を引き上げる組合が今後増える可能性があります。

 また、加入事業所の約8割が中小企業である協会けんぽも赤字構造が続いており健康保険料は上がり続けています。昭和22年度に3.6%だった保険料は令和3年度には健康保険料10%に加えて介護保険料が1.80%になりました。

 保険料率だけではなく、今後短時間労働者への社会保険適用拡大も決まっており従業員を雇用する企業にとって社会保険料の負担増加は避けられなくなってきています。
    (参考:社会保険適用拡大の変更点)

  • 令和410月~ 企業規模要件が被保険者数100人超規模に引き下げ、雇用期間要件の撤廃
  • 令和610月~ 企業規模要件が被保険者数 50人超規模に引き下げ


被保険者の意識改革も必要

 健康保険料等の社会保険料の計算の基礎となる標準報酬月額は、4月から6月の給与(手当等を含む)をもとに計算します。4月から6月の残業(残業手当)が大きく影響します。そのため、従業員からすると、定時改定での保険料の増減は気にしても、3月分から保険料率が上昇していることには気づきにくいものかもしれません。

 おそらく、今回コロナによる緊急事態宣言の影響で4月から6月の給与や残業が減るなど報酬低下の影響もあって、等級が下がる被保険者が多くなることが予測されます。中には「今年は、保険料の負担が減る。」と考える方もいるかもしれません。しかし、社会保険のしくみを理解し、これまで以上に私たち一人一人の医療費が増加しないように健康維持や適切な医療機関へのかかり方、ジェネリック医薬品を利用するなど取り組まなくては、将来的な負担は増え続けてしまうと意識しなくてはいけません。


2021年4月号 DXを促進すると税優遇される? そもそもDXとは・・

 昨今DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を目にする又は聞くことが増えました。2018年の経済産業省が発表したDXレポートでも、DXが実現できない場合2025年以降に最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)を上げており、DXを推進するために税制改正の検討も進んでおります。今回はそもそもDXって何?という点とDXに絡んだ税制改正についてふれたいと思います。
 冒頭でもふれましたがDXとは、デジタルトランスフォーメーションの略です。英語にすると、Digital TransformationなのでDTでは?と思うかもしれませんが、TransをXと略すことがあることからDXとなっています。そもそもは2004年にスウェーデンのウメオ大学の教授によって提唱された概念です。その中でのDXとは「進化し続けるテクノロジーを活用することで、人々の生活を豊かにし変革すること」というもの。つまり、DXが実現できないということは、「革新的なテクノロジーが生まれない」「革新的なテクノロジーを活用できない」という状態を指すと考えられます。そのような状態で2025年を迎えた場合に、日本は世界からおいていかれることが想定され、DXを進めないといけないと話題になっているのが現状です。
 
ここからは税制の話になります。DXが何か、DXを進めないといけないということは理解いただけたかと思います。日本政府としても、各企業にDXを進め世界に対して競争力をつけてほしいという思いがあるので、DXを進めた企業に対しては税制優遇する方針となっています。新設が予定されている制度として、DX投資促進税制があげられます。以下の点をまずおさえておきましょう。
  ①全社レベルのDXにむけた計画に対して認定が必要
  ②対象設備にソフトウェア、器具備品、機械装置に加えて繰延資産(クラウドシステムへの移行に係る初期費用)が含まれる
  ③設備への投資上限は300億円、投資下限は売上高比0.1%以上
  ④投資額に対し、税額控除(5%/3%)又は特別償却30%の適用をうけることができる

注意点として、DX投資促進税制という名前から、関係する設備投資はDX投資促進税制をうければいいととらえてしまうかもしれませんが、中小企業の場合は既存の中小企業経営強化税制など他の制度を利用したほうが有利な場合も考えられます。設備投資の検討の段階からご相談ください。

2021年3月号 公募開始~事業再構築補助金~

 中小企業庁は、新型コロナウイルス感染症の経済対策の一環で「事業再構築促進事業」として、一定の要件を満たす中小企業・中堅企業に補助金の交付を始めます。この事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響により売上が減少した中小企業・中堅企業などを対象に、新規事業の展開や業務転換を支援するための補助金です。令和3年3月に公募が開始される予定で、1兆1,485億円が確保されております。以前給付されていた持続化給付金と違い、今回の補助金は新たな取り組みを行う企業を対象にしたものです。また、持続化給付金は不正受給が頻発していましたが、今回の交付は「補助金」となりますので、計画書の提出や何に支出したかの経費費目までを審査・管理されることにもなるでしょう。

 さて具体的に、補助金の対象となるケースですが、経済産業省のリーフレットに掲載されていた例として、

◇小売業◇
衣服販売業が、衣料品のネット販売やサブスクリプション形式の事業に業態を転換

◇食品製造業◇
 和菓子製造・販売業が、和菓子の製造過程で生成される成分を活用し、新たに化粧品の製造・販売を開始
といったものがあります。業種の指定はありませんが、いずれにしても、コロナ禍に対応する製品やサービスの変革がキーポイントになるようです。

適用を受けるためには、共通要件3つを満たす必要があります。①任意の3ヶ月(申請前直近6ヶ月から選択)の合計売上高が、新型コロナ以前の同期比で10%以上減少②認定経営革新等支援機関や金融機関と共同で事業計画を策定③補助事業終了後3~5年で、又は、従業員一人当たりの、付加価値額の年率平均3.0(一部5.0)%以上増加の達成。この要件は通常枠の補助金を受ける場合であり、別途違う枠の補助金を受ける場合には、別に個別要件を満たす必要があります。

画像:2021年3月号 公募開始~事業再構築補助金~

なお、申請受付は電子のみを予定しており、具体的には経産省開発の補助金電子申請システム(jGrants)で受け付ける事にしており、jGrantsの利用にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要になります。取得には2週間以上の時間を要するため、補助金の申請を受ける場合には、早めのお手続きをお勧めします。

2021年2月号 国税庁・テレワーク補助の非課税指針公表

2回目の緊急事態宣言下でのテレワーク実施率は全国で22%にとどまるというが、テレワークをしている従業員にとっては自宅で仕事をするにあたり、通信費や水道光熱費が増加しているのではないだろうか。

会社から従業員へ支給するテレワークに伴う経費についての手当は、従業員が実際に支出した業務のための実費相当分に支給されるものであれば所得税の課税は生じない。実際に支出した費用でも、会社が『一律に定額』を支給する場合などは、住居手当などと同様に給与所得として所得税の課税対象になる。

国税庁は15日、新型コロナウイルス禍で広がるテレワーク拡大に対応した課税指針を公表した。
会社が従業員に通信費を補助する際、半額は所得税の課税対象にしないと明示。電気料金も業務で使った自宅の部屋の床面積などを考慮し、一定額を非課税とする。

画像:国税庁・テレワーク補助の非課税指針公表

従業員が在宅で私用の通信機器を使ったり電力を消費したりする場合、どこまでが仕事用なのか判別しにくい。指針は非課税額を算出する計算式を示し、補助が非課税となる「実費相当」の水準を明確にした。

経理担当としては、この指針通りに毎月従業員別に管理するのは大変手間がかかると思われるが、指針とは別に企業が独自に非課税分を精緻に算出するのも認めるとのことなので柔軟に対応してはいかがだろうか。

在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf
(参考 日本経済新聞、国税庁)

2021年1月号  脱ハンコ  電子署名と電子サインとは?

2020年は新型コロナウイルスにより、企業も様々な対応を迫られた年でした。その中で、普及したものとしてテレワークやオンライン会議があります。しかし、押印が必要な書類があり、そのためだけに出社するといったケースもあったようです。その為、「脱ハンコ」を目的とした「電子サイン」を導入する企業が増加したそうです。

この度、弊社でも12月よりAdobeSignを導入し電子サインの利用を開始いたしました。これまでは契約書に代表者様の押印を頂くか法務局の商業登記電子証明書やマイナンバーカードによる電子署名を頂いていました。電子サインは電子証明書による電子署名より導入しやすく手間がかからないといったメリットがあります。まず電子署名と何が違うのか比較してみましょう。(下表参照) 

<電子署名と電子サインのちがい>

種類
本人性の担保導入のしやすさ法的効力(証拠力)
電子署名

・電子証明書による電子署名

+タイムスタンプ

・電子証明書を発行する第三者機関による証明

・契約当事者が電子証明書を取得する手間がある・高い
電子サイン

・メールによる本人確認

+タイムスタンプ

・手間や負担が少なく導入しやすい。

(オンラインでのやり取りなので、時間や場所の拘束がない)

・電子署名よりは低い

<電子契約手続きの流れ>(例:AdobeSignを利用し契約書を取り交わす場合)

①依頼者からAdobeSign経由で署名者宛に契約書の確認および署名の依頼メールを送ります。(複数者間の契約の場合、複数人に送信できます。)

②メール受信者(署名者)がメール内の署名用URLより契約書(PDFファイル)を開き、署名(手書きまたは入力)をします。

③署名が完了すると署名済みPDFファイルはオンライン上で保管、依頼者、署名者それぞれに通知されダウンロードできます。(※署名済みPDFファイルは保護され改ざんすることはできません。)

 一連の契約手続きはオンライン上で完結するため、紙で印刷し製本する手間、取引先に出向いたり郵送にかかるコストが減ります。さらに取引先や顧客との契約書だけでなく、社内の保管書類に活用することも可能です。例えば、入社時に従業員と取り交わす雇用契約書・身元保証書・個人情報取り扱いの同意書等の入社書類は、相手が個人でかつ社内書類のため、比較的導入しやすのではないでしょうか。 社内でもハンコによる無駄な業務がないか一度見直してみましょう。


2020年12月号  実は確定申告が必要かも・・日常生活の収入

 

あっという間に12月となり今年も残すところ1か月です。来年になるとすぐに確定申告の時期がやってきます。確定申告なんて縁がないと思っている方も、場合によっては確定申告が必要になるものを紹介したいと思います。

①メルカリなどのフリマアプリでの売却収入

 洋服や生活用品等の不要品を売却した収入は、非課税となるため基本的に課税されません。ただし、130万円以上の貴金属・美術品等の売買により利益が出た場合は譲渡所得として課税対象となります。また、近年問題になっている面もありますが、転売を継続的に行っている場合は事業所得や雑所得として捉えられる場合もあります。

②懸賞での賞品,賞金等

 懸賞に応募して賞品や賞金が当たった場合は、その賞品や賞金が一時所得として課税対象になります。賞品とは違いますが、ふるさと納税の返礼品も同じ一時所得として扱われます。

③競馬

 競馬などのギャンブルでの儲けも基本的には一時所得として課税対象となります。この場合注意が必要なのは負けた分のお金は費用にはならないということです。例えば、100円の馬券を1,000枚購入し(10万円の支出)、そのうちの1枚の馬券が10万円の当たり馬券になったとします。この場合、10万円支払って10万円戻ってきたので利益はないように見えますが、一時所得の計算上は収入10万円に対し、当たり馬券の購入価格100円を引いた金額を所得と考えます。

 

上記の説明を見て、今まで確定申告なんてしてませんけど?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。上記で紹介した内の譲渡所得・一時所得については、計算上50万円をその所得から控除することができる特別控除という考え方があるため、50万円以上の所得がでていないような少額の場合は、確定申告は必要がありませんのでご安心ください。

また、②の賞金には宝くじが含まれるようにも思われますが、宝くじは非課税として扱われます。これから年末ジャンボ宝くじで10億円当てようと税金はかかりませんので、買われる方は当てて2020年を締めくくれるといいですね。

2020年11月号  定年がなくなる日 ~70歳定年法~

 先日、日本郵便の正社員と契約社員の待遇格差の是非が争われた訴訟の審判決があり、双方には「不合理な格差」があると判断がされました。

 20214月には中小企業にも同一労働同一賃金が施工されますが、同施工日には、企業に対して70歳までの就業機会の確保を努力義務とする「改正高年齢者雇用安定法」(通称・70歳定年法)が施工されます。

現行制度では、全事業主に65歳までの定年引上げ 65歳までの継続雇用制度の導入 ③定年廃止のうち、いずれかを義務付けており、2025年には経過措置が終わります。社会の実態は、本人が希望すれば65歳までは働けるとはいうものの、60歳で一度定年退職し、その後は契約社員などとして継続雇用する仕組みの企業が約8割を占めています。しかし、定年再雇用時の賃金減額について、今までの裁判では容認傾向でしたが、今後の改正によりシニアの働き方の意識は変わってくるでしょう。高年齢者の同一労働同一賃金についても、より一層厳格な判断が下される可能性も否定できません。

70歳定年法は、①~③の現行制度の年齢が5歳上にスライドされ、また新たに、④高年齢者の希望により企業との業務委託契約の締結制度 ⑤事業主自ら、又は委託、出資などをする団体が実施する社会貢献事業に従事できる制度が加わりました。努力義務であるため、直ちに取り組む必要はないものの、2025年に65歳定年制が完全義務化されると、70歳定年法も義務化の方向に社会は動いていくかもしれません。企業側のメリットとしては、労働力の確保や知識・技能の承継があげられます。その反面、人件費が増加するため人事制度や退職金制度の見直しを迫られ、また人材の若返りが図れないことが課題となっております。従業員側は、年金受給の繰り下げの選択肢が増えますが、職場での役職や立場が逆転する、上がつかえるなどの面もあります。

人材不足の解消や社会保障制度の維持のためには、高齢者も今以上に長く働かなければならない時代になりました。今年は「熟年離婚」の前倒し版「コロナ離婚」という言葉も新たに出来ましたが、夫婦関係を良好な状態に保つためには、適度な距離感が必要なのかもしれません。「労働期間の延長」という言葉だけ聞くと、気持ちが暗くなるかもしれませんが、「良好な夫婦関係を継続する」「社会との関わり合いが長くなる」とポジティブに考えてみてはいかがでしょうか。

                   (参考文献:週刊東洋経済)