MACOS通信別冊

MACOS通信別冊は、月1回のペースで、職員が持ち回りで担当するコラムです。    税務だけでなく、様々なことを取りあげていきます。

11月号  定年がなくなる日 ~70歳定年法~

 先日、日本郵便の正社員と契約社員の待遇格差の是非が争われた訴訟の審判決があり、双方には「不合理な格差」があると判断がされました。

 20214月には中小企業にも同一労働同一賃金が施工されますが、同施工日には、企業に対して70歳までの就業機会の確保を努力義務とする「改正高年齢者雇用安定法」(通称・70歳定年法)が施工されます。

現行制度では、全事業主に65歳までの定年引上げ 65歳までの継続雇用制度の導入 ③定年廃止のうち、いずれかを義務付けており、2025年には経過措置が終わります。社会の実態は、本人が希望すれば65歳までは働けるとはいうものの、60歳で一度定年退職し、その後は契約社員などとして継続雇用する仕組みの企業が約8割を占めています。しかし、定年再雇用時の賃金減額について、今までの裁判では容認傾向でしたが、今後の改正によりシニアの働き方の意識は変わってくるでしょう。高年齢者の同一労働同一賃金についても、より一層厳格な判断が下される可能性も否定できません。

70歳定年法は、①~③の現行制度の年齢が5歳上にスライドされ、また新たに、④高年齢者の希望により企業との業務委託契約の締結制度 ⑤事業主自ら、又は委託、出資などをする団体が実施する社会貢献事業に従事できる制度が加わりました。努力義務であるため、直ちに取り組む必要はないものの、2025年に65歳定年制が完全義務化されると、70歳定年法も義務化の方向に社会は動いていくかもしれません。企業側のメリットとしては、労働力の確保や知識・技能の承継があげられます。その反面、人件費が増加するため人事制度や退職金制度の見直しを迫られ、また人材の若返りが図れないことが課題となっております。従業員側は、年金受給の繰り下げの選択肢が増えますが、職場での役職や立場が逆転する、上がつかえるなどの面もあります。

人材不足の解消や社会保障制度の維持のためには、高齢者も今以上に長く働かなければならない時代になりました。今年は「熟年離婚」の前倒し版「コロナ離婚」という言葉も新たに出来ましたが、夫婦関係を良好な状態に保つためには、適度な距離感が必要なのかもしれません。「労働期間の延長」という言葉だけ聞くと、気持ちが暗くなるかもしれませんが、「良好な夫婦関係を継続する」「社会との関わり合いが長くなる」とポジティブに考えてみてはいかがでしょうか。

                   (参考文献:週刊東洋経済)